「抜け!」

さて、事の最中に今のような色気も何もない声を出されたなら、
興ざめは必然のことですが、それ以上に驚いたのはその肢体です。

「…って言うか、柔らかいですよね」

「うっせ!」

ようやく組み臥せた少年は、俺が次の行動を実行する前に「変態」と宣った。

はてさて、事実、「変態」と呼ばれるであろう行動を起こそうとしていた俺から見れば、
何故この少年が俺の考えの先を読めたのかが不思議でならない。
人皮を被っている俺をすぐに俺だと見破ったことといい、
直観が強いだけなのだろうか。

彼のお望み通り、そして俺の欲望の通り彼の着物を脱が…いや、切り裂いて、
俺は躊躇なく少年の後腔に指を突き入れるわけですが。

途端に彼の「抜け」コール。
いやはやどうして、

「痛い、とかじゃないんですかね。まるで同性との交わりを知っている言い方だ」

少年の体が緊張するのがわかりました。
地面に膝をついてもらっているので、俺から顔は見えませんが、
確かな筋肉の強張りは彼の内蔵に触れている俺の二本の指が教えてくれます。

ぼさぼさの後ろ頭が震え出し、先ほどまで
「傷つかないように」指を飲んでいた彼の体が硬くなっていきます。

「まぁ、そんなのどうでもいいけどさ」

二本の指をバラバラに動かしだすと、彼は両腕で自分の口を塞ぎにかかりました。
そんなことをしたら逆効果だと、言ってやりたい気分でしたが

「えろいカッコ…」

尻だけを高く上げたその格好がなんともいやらしく、
俺はそっちに興味を持ちました。

知らず知らずのうちに足はかなり広げられ、尻は高く突き出され、
まるでおねだりのポーズです。

さて、彼の中に納まっていた二本の指が湿っているのに気づいた俺は
とりあえず適当な刀を取り出します。
刀の音に気づいた少年はまたビクリと、俺の方を見ました。

たぶん、一瞬は見えたと思います。
自分の尻に柄が埋められようとしているところが。
すぐに俺が頭を押さえ込んでしまったので、
その先は感じることしか出来なかったと思いますが。

「イッ、やめ、やめろッ」

太刀銘も掘られていない頭…柄の下部のことですが
これはいとも簡単に入りました。
問題は皮や糸が張られている胴の部分ですが
やはり水分を吸収してしまうようで、すぐに引っかかって先に進まなくなります。

しかしながら、俺の左手の下にある少年の頭は
さき程の震えはどこへやら、ゆっくりと深呼吸をしています。
俺が柄を進ませようとすれば息を吐き、それはもう受け入れようとしているとしか
思えない行動です。

「…」

健気さに愛らしさを見た俺は、既に一尺近く埋め込まれていた柄を
少々乱暴に引き抜きます。
彼の悲鳴なのか嬌声なのかわからない声が聞こえましたが、
滑りやすいものを与えた方がよいと判断した今、
それは物欲しげな声だろうと解釈する俺は間違ってはいないでしょう。

刀を放り投げ、鞘の先端を強引にねじ込むと
彼の腰が痙攣し、身体は横に傾ぎました。

慌てて腹の下に手をいれ受け止めると、下腹部の痙攣が伝わって来ます。
同時に、青臭い、久しぶりに嗅ぐ人間の臭いを感じ。

「早いね?」

ぜぇぜぇと、荒げた音と一緒に何やら強がった声が聞こえて来ます。
何だ、戦うよりもこっちのほうが体力奪えるんじゃないのと思いながら
まだ尻に刺さったままの鞘を乱暴に抜き差しすると
少年の身体は面白いくらいによく跳ねます。

「へぇ…」

これは楽しい、いい玩具だ。
少年が青年になろうとする途中の身体。
既に傷が無数に走っている身体ですが、これはこれで面白いものなのです。

「う、うわぁぁああっ」

おや。気絶してしまったの。
敵の前で気絶するなんてなんて甘ちゃんなことでしょう。
うん、でも楽しかったです。
これは拾ったところに戻しておくとしましょう。
そしてまたいつか遊びましょう。

きっと親友くんの仇をとりに俺のところへ向かってくる
可愛い、可愛い-----。




Fin




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ともひと
 あんまりゑろくならないこの切なさ。

2008.6
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