露出












あんた、も少し人の目を気にしろよ


と、突然可愛くない顔をしながら弟が言った。
何で、と返すと、少し顔を背けながら呟く。


その…首のとか、腕の傷とか


自分の方が傷だらけの癖して、何を言ってるのだろう。


ち、違うだろ、その傷は!


あぁ真っ赤になっちゃって。

裏会にいるときも気にしてないよ。皆わかってるし。

と付け足すと、今度は白くなった。

わなわなと震えてから、どしどしと足音を立てながら、可愛くない可愛い弟は自
室へ戻って行った。


















良守、お前ちょっとはその肌隠したら?


ニヤニヤしながら兄貴が言った。


何が?


と返すと、兄貴はキョトンとした顔をして、
けれど一瞬でいつものニヤニヤ顔に戻って、


ふぅん。言うようになったじゃない。


と言って風呂場から出て行った。

意味がわからないまま、何気なく鏡をみる。
何度見ても傷だらけの体だ。


あれ?


一瞬、視界に赤い何かが映る。
もう一度鏡を覗き込もうと思って…すぐに思い当たるものが頭をよぎって、見る
のをやめた。


あんのクソハゲが…!


心の中で毒付きながら、乱暴に浴室へ続く扉を開け放った。

 











Fin




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ともひと
 ゑろくならずにほんと申し訳ない・・・
 兄→弟っぽくて、弟→兄っぽい。

2010.5
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