『力』 自信があった。 絶対に彼を説き伏せてみせる 自信があった。 絶対に彼を取り戻す 自信があった。 でも無理だったんだ。 彼は僕じゃ支配できないところにいたんだ。 だって 何度も 何度も 何度も 息が触れ合うほど近くに行ったのに 彼は僕に敵意を向けるだけだったんだ。 躊躇いがそこになかったんだ。 僕は彼の躊躇いにさえならなかったんだ。 僕はこんなに躊躇っているというのに それなら僕も躊躇えないよ。 だって僕は君のことがとても好きなんだもの 躊躇わないよ うん。 大丈夫。 僕は躊躇わないよ。 だから。 だから、お願い。 誰でもいい。 誰でもいいから。 僕に力をください。 彼に最期を与える力をください。 大丈夫。 僕は躊躇わないから。 ------------------------------------------- ともひと 2004.3 -------------------------------------------