『夢』 最近見ないな。 みてもいないな。 もうそんなことを考える歳でもない。 あぁ。 あの日は綺麗だった。 あの日の夢は良かった。 言ったことがあったか・・・? ・・・そうか。 忘れていたよ。 きっと酔っていたんだな。 お前に話すなんてな。 また話すのか? 仕方がないやつだな。 まぁ・・・暇だからいいが。 途中で口を挟むなよ。 その時、私は空とも海ともわからない、 そんなところにいた。 星があり、どう考えても空・・・いや、 宇宙と言ったほうが正しいのかもしれない。 しかし肌に触れ後方へと流れていく、 全身に触れるその感覚は、 海の中としか言えないものだった。 しばらくして何かが流れてきた。 単なる黒い塊なのに、 それが人間だと知っていた。 そしてそれが誰かも知っていた。 なのに私ぁわざわざ尋ねるんだ。 「アンタは誰だい?」 こんな感じでね。 するとその塊は顔を上げてこう言うんだ。 「アンタだよ」 嫌そうな顔をしていやがった。 そして私が私に触れるその時に、 私は目を覚ました。 気づくと天井をぼんやりと見ていたんだ。 その夢の世界はかなり神秘的で。 私は夢の記憶を反芻していた。 まだ夢を彷徨っているかのような感覚が。 なかなか抜けなかったんだ。 しかしなんでこんな話を聞きたがるんだ? 私の顔? お前も相当な変人だな。 さぁ。 私の話はコレで終わりだ。 次はお前さんが話してくれ。 お前さんが見た夢を。 ------------------------------------------- ともひと 2004.3 -------------------------------------------