星



























 星を見に行くって、誰かが言った。

 まさか当麻見たいに宇宙まで飛んで行くのかと思ったけど。

「はは。まさか」

 って言ったから、着いて行くことにした。











 高い山に登るんだと思ったら、いつまで経っても出発しない。

 せっかくお弁当を作ったのに。

「いつ行くんだい?」

 そう問い掛けると、誰かが答えた。

「え?そうだなぁ。10時くらいでいいんじゃないか」

「・・・・・え?」

 近場にいくのかな。

 ここら辺いいところあったっけ?


































 さて。

 気づくと時計は10時を回っていた。

 みんなは伸びをしながらテレビを消して外に出て行った。

「あ、遼、僕が持つよ」

「いいよ。すぐそこだから」

 7人と1匹が乗れるシートの大きさといったら。

「・・・・大丈夫?」

「あぁ。よっと」

 外に出て、遼はすぐにシートを落としてしまった。

 僕が慌てるのを横目に、皆がそれを広げて、座りだした。

 どうやら落としたのではなく降ろしたようだ。

「どうしたんだ、伸」

「・・・え?」

「べんとー。俺腹減っちまった」

「あ、うん」

「ほら、伸。ここ」

 遼が空けてくれた場所に座り込んで、ふと見た空と地上。
















「うわ・・・・・・ぁ」

















 ありきたりな。そんな言葉しか出てこなかった。

 下には色とりどりの明かり。

 上には満天の明かり。

 下にも。上にも。

 星があった。

 星は高いところにあるんだと思って。

 山に登るとか思っていた自分がバカみたいだ。






















「すごい・・・・」


























「きれいだな」

 誰からともなく漏れた言葉。

「あぁ。きれいだ」

 誰もが賛同した言葉。

 僕は星に囲まれている。
























 ふと横を見ると。

 星を見ている皆の目に星が映っていた。

 皆が輝きを放っているように感じた。

 皆が星に感じた。

 とても遠くにあるように感じた。























 思わず隣にいる遼を抱きしめた。

 遠くに行かないでっていう思いを込めて抱きしめた。

「どうしたんだ?伸」

 声が近くでとても嬉しくて。

 涙を遼の肩でこっそり拭いた。




























 星を見上げていた僕も、きっと星になっていた。








 


















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ともひと
 多分オールメンバーです。
 多少伸遼なのは目をつぶってください。

2004.4
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