じゃれついて、 転がって、 騒ぎ、 はしゃいで、 笑い合って、 喧嘩して、 怒って、 怒らせて、 泣かせて、 泣いて。
僕らは今何をしているんだろう。 僕は今何ができるんだろう。 この見えない体で。 頭でなく、ココロというものでしか。 脳ではなく、存在しないけれどここにある魂が。 僕に宿る魂が。 そんな抽象的なものでしかない僕が。 僕は今何ができるんだろう。
この体。 でもこの体は兄さんが。 この魂も。 僕自身もきっと兄さんが。
兄さんが夢を見る。 僕はいつも揺り起こす。 僕の名前と、母さんを叫んで飛び起きる。 手は硬く握られて。
僕の硬い手を握って。
僕は、泣き出す兄さんの隣にいることしか出来ない。 兄さんが許してくれって泣くんだ。 憎んでる、憎まないで、と泣くんだ。
愛されたいと涙を流すんだ。
兄さん。 兄さんはずるいよ。
許しているのにどうやって許すことができるの。 憎んでないのにどうやって憎むことができるの。 愛してるのにどうやって愛することができるの。
きっと兄さんは、 自分を許していないんだね。 自分を憎んでるのかな。 自分を愛していないのかな。 酷いよね。 僕が許すと言っているのに。 僕が憎んでいないと言っているのに。 僕が愛していると言っているのに。 それでもまだ言うんだ。 許してくれ。 憎まないでくれ。 愛してくれ。 って。
だから僕はいつも言うよ。 この見えない体で。 兄さんを許せるのは僕だけ。 兄さんを憎めるのも僕だけ。 兄さんを愛せるのも僕だけ。 兄さんを生かすのも僕だけ。 兄さんを殺せるのも僕だけ。
そうだよね? 兄さん。 この透けた体。 見えない体。 兄さんに作られた体。 兄さんのために、兄さんにしか見えない体。 ------------------------------------------- ともひと  絵茶で、兄弟に萌えている某2人の会話を、  聞いていたのですが。  んー。  もうちょっと赤い感じで書いた方が良かったですね。 2004.5 -------------------------------------------