青 視界が青く染まって、そして終わった。 少し前を思い出してみる。 青はまだ視界を埋め尽くすほどではなかった。 目の前で動いていたはずだ。 いつの間に埋め尽くされたのか。 体が熱い。 まるで情事の後のようだ。 数時間前を思い出してみる。 最後だから何もしなかった。 何もせず、話もせず、ただ手を繋いだ。 手のひらが熱く感じた。 その時の熱なのか。 今の熱なのか。 声が出ないような気がした。 出してみようと思いもしなかった。 別にどちらでもよかった。 視界に広がった青に何か伝えようと思った。 口を開くまではしたが、特に「言葉」が無かったので、閉じた。 そして終わった。 自分が青に何を伝えたかったのかがわからない。 心残りはそれだけだろうか。 青の色が変わる。 遠いところにある青になった。 それはいつも手を伸ばしてはつかめなかった青だった。 一瞬近くなって、その時、喉が何か音を出した。 懐かしい音だと思い、私は終わりを知った。 ------------------------------------------- ともひと ユリちゃん最期のネタです。 本当にこのネタ好きですね。 2004.8 -------------------------------------------