階段 それはまるで階段の様だった。 坂道と違うのは、落ちるたび、一段一段の衝撃が来ると言うことだ。 ときたま足元にある手すりに足が引っかかりながら、それでも落ちていく。 その時は痛いという感覚はないのだけれど。 頭を庇った腕とか。 反射的に丸めた背中から飛び出した背骨とか。 階段の角が当たって、熱い、と感じる。 早く終われ。 ただそれだけを考える。 そこに微笑む人がいたから伸ばした腕が誰かにつかまれ、気づいたら。 気づいたら落ちていた。 全身が熱い。 ただ熱い。 早く終われ。 もう終われ。 そして終わってくれと願うだけの自分に腹が立つ。 止めてくれと誰かにすがっている自分に腹が立つ。 でも自分で止められないのだから仕方がない。 そう思う自分にまた腹が立つ。 いつまで落ちるのだろう。 永遠に続くようなこの階段の、終わりはいつだ。 ------------------------------------------- ともひと 吉国くんです。 2004.4 -------------------------------------------