ポラロイドカメラ













机の奥から使い捨てのカメラが出てきた。
まだ数枚残っていた。
翌日、学校へ持っていった。


「は〜い明美ちゃんこっち向いて〜。イイネセクシーだよ〜v」

朝っぱらからハイなヤツラの横を通り、教室へ向かう。

「おら焦げ犬!人様の前を通りすぎるときは挨拶しろってんだ!」

猿がキーキーと叫んだ。
とりあえず無視してみる。
横目で猿を見たが、今日はセーラーを着ていた。
うちの制服じゃない。
ごつい体にセーラーは倒錯的で、思わず目を逸らした。

「今日は勝負下着よ!」

そう言って猿は幼なじみに向かってスカートをめくり上げた。
丁度俺に背を向けた格好だ。
苛っとした。
ので、鞄に突っ込んでおいたカメラを手にとり、言う。

「とりあえず、バカ猿。こっち向け」

振り返ったその瞬間にシャッターを切る。
めくられたままだったスカートが、シャッターが切られた後に下ろされた。
チラリと黒い下着が見えた。
猿が目の前で硬直している。
俺はニヤリと笑んだ。
一瞬で正気を取り戻した猿は俺に手を伸ばす。
俺は身を引いて逃げた。
同時チャイムが鳴った。

「ムキーッ!離せ沢松!」

「つったってもう始業だろうが!」

もがく馬鹿力を沢松が押さえ込む。
大変そうだ。
俺はそれをイイコトにさっさと教室へ行く。
現像が楽しみで仕方がない。

出来れば今この瞬間に見たいのに。
まぁ、そのうちポラロイドカメラでも買うかな。


背後で猿の寄声が聞こえた。
今日もいい朝だ。


















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ともひと
 トウサツはいけませんよ?
 盗聴もダメですよ?

2004.9
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