『博士…、俺にもちょうだい…』












ナンバリング











「宝条博士」

「ん?」

 慌てて私の元へやってきた所員が乱暴に私を呼んだ。

 少しの不満があるが彼の性格ならしようがないと諦める。

「またカプセルの中の男がさわいでます」

 そして、やはり彼の言うことはどうでもいいことである。

「カプセル…あぁ、地下の」

「金髪の方です。どうしますか?」

 放っておきなさい、と言ってから少し考える。

「やはり私が行きましょう。貴女方はその辺の掃除でもしていてください」

「はっ、はい」

 私は出来の悪い所員を残して部屋を出た。
 部屋を出て直ぐに右手にある、二階へと続く階段をゆっくり登る。

「今日は何をしてあげましょうかね…」

 地下に並ぶ二つのカプセル。
 私の可愛いサンプルたち。



 金髪の少年の壊れた精神と、少年をもてあそぶ私の歓喜の前に、
 黒髪の優秀なサンプルはカプセルを拳で叩き割らんとする。

 なんと楽しい一時であろうか。





 開け放たれたままの地下への螺旋階段を一歩、また一歩と踏みしめる度、
 私の心に歓喜が満ちる。

 今日はあの少年は何と言って私を楽しませてくれるのだろう。


 また私にナンバーをねだるのだろうか。
 あの淫美な腰で。


「クックックッ」


 私の研究に終わりはないようだ。







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ともひと
2007.10
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