パステルエナメル











「あれ、今日は赤じゃないんっすか?」

「もう子津くんてば☆もう春なのに何言ってるの」

「でも猿野く」

「ぶー。今はあ・け・み」

「えっと明美さんは赤の方が似合うと思うっす」

「…!」

「どうしたんっすか?」

「ちょっと今のは効いたかも…」

「え?あっ顔赤いっすよ!大丈夫っすか?」

「もう、明美の全部を子津くんにあげてもいいわぁ〜!」

「むぐっ!ちょっと猿野…明美さん苦しいっす!」

「いやぁぁん子津くんてば可愛い〜☆」

「馬鹿猿。そいつが言ったのを猿でもわかる日本語にするとこうだ」

「ぷは、犬飼くんありがとっす」

「うぉ、離せこの駄犬!」

「お前には可愛い色より毒毒しい赤が似合うとよ」

「えっいや僕はそんな意味で言ったんじゃ」

「んだとこの駄犬!」

「俺も」

「あぁ?」

「お前は毒毒しい色のが似合うと思う」

「…何言ってんだよ」

「これ以上お前の犠牲になる色を増やしたくないだけだけどな」

「ムキー!」

「二人とも喧嘩は駄目っすよ!」










でもそれから明美さんは
口紅も爪も赤しか使わなくなったっす。

なんか複雑っす。


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ともひと
2007.10
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