通勤電車

































段々と沈んで行く太陽が不意に見えなくなった。

電車の音がこもり、聞こえない音を垂れ流すイヤホンを外した。

外を見ても真っ暗なので、やることもない俺は車内を見渡した。

携帯を触る人。
寝る人。
時たま本を読む人。

田舎の方まで来ると、もう人もマバラにしかいない。
乗り換える前までの、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていた車内とは大違いだ。

暗くなった時と同様に不意に外が明るくなって、
トンネルを抜けたことを光が告げた。

もう一度イヤホンを付けるか考え、やめた。

片道3時間の暇つぶしにと持っていたプレーヤーの充電では、
後2曲ももたないだろうと思ったからだ。

しばらくぼんやりと窓の外を眺めた。

もう太陽は沈んでしまったというのに、空はまだ明るく、
綺麗な色を写し出していた。



そして唐突に、明日もこの時間に帰ろう、と、
家にいる想い人を思った。



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ともひと
2007.11
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