初めて手を繋いだのは、彼の相方を抱き上げた時だ。
いつも相方の背中に乗っている彼が、俺を見つめて来た。

手を差し出すと、人と手を繋いだことがない彼はおずおずと手を伸ばして来た。

届かない分は、俺が背を屈めてやることでカバーする。

自分と同じ手に手を握られて、彼は少しくすぐったそうにしていた。










手を繋ぐ









それから手を繋ぐことが多くなった。
二人と一匹で食材を調達しに行くときや、夜寝るとき。

どちらからというわけでもなく、手を繋ぐ。

いや、多分俺が身を屈めて彼に手を差し出しているのだ。
もしかしたら、彼が手を伸ばしたから屈んだのかもしれない。
どっちからなのかは、とりあえずわからねぇ。








手を繋いでいる間、何故か俺達は無口になる。

話したいことは山ほどある。
聞きたいことは山ほどある。
けど、言葉を紡いではいけないような、
この空間を切り裂いてはいけないような気がする。

ただ俺達は互いの位置を手で把握しながら先へと進む。
これからも、たぶん。
いや、これからも、きっと。




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ともひと
2007.11
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