雪 白いよ。きれいだね。 誰かがそんな言葉を言うけれど。 白以外の色をした雪。 俺は見たことがあるんだぜ。 それはとても寒い日のことで。 風が無い日のことだった。 昨日までの晴天ぶりはどこふく風で。 アテにならない天気予報が、朝方は雪と告げ。 俺は陽が昇る前にベッドから抜け出した。 雪がもう降っていた。 肌にあたり溶けていった。 でも違和感があった。 雪が肌に張り付くその違和感。 目を凝らすと雪は淡いピンク色。 昨日の暖かい気候に誘われ咲いた花。 白い溶ける雪とともに舞う淡い色をした溶けない雪が。 俺の心をくすぐって。 唐突に。 それはもう、唐突に。 会いたくなった人がいた。 ------------------------------------------- ともひと 当麻から。 遼へ。 2004.4 -------------------------------------------